2016年6月15日水曜日

基金から回答書が届きました。その2

そこで次の再問合せ文書が出されました。(ポイントになる部分を
青太字で表記しています)



大阪金属問屋厚生年金基金
常務理事 岡 克至 殿
(写し 理事長 児玉直樹殿、各代議員殿)

   当基金の即時解散お願いに関するご回答について

前略
時下ますますご清祥の段、お慶び申し上げます。平素は当基金の運営
業務等に格別のお引き立てをいただき、厚く御礼申し上げます。
さて、平成28610日付にて児玉理事長よりご連絡頂きました
標題の貴ご回答内容について、以下の点に就きましてさらにご回答
賜りますよう、お願い申し上げます。

現行の特別掛金が当社加入員に還元されない」ことについて;

(1) 特別掛金が基金設立後に発生した後発債務(過去勤務債務)の
償却、平たく言えば基金運営の結果によって発生した積立不足の
穴埋めのために負担しているもので、それは確定給付型年金基金を
継続するには必要であることは重々承知しております。

(2) 弊社が申し上げているのは、基金制度の継続を前提にした
特別掛金負担は、“制度自体が廃止”となることを考えると、
もはや意味がないということです。

(3) また、現実に、当基金が存続予定している向こう4年間で当社
加入員が当基金の受給者になることはないので、“現在の加入員
には還元されない”ことは明らかです。もちろん即時でも4年後でも、
基金が解散した後に、残余財産があれば加入員にも分配されますが、
加入員約9千人、受給権者約11千人、合計約2万人に分配しますので、
当社加入員に分配される額は、ゼロではないでしょうが、支払った
特別掛金額に比べると僅かの額になります

(4) ですから、正確に申し上げれば“現在の加入員にはほとんど還元
されない”ということではないでしょうか。
そのため、制度廃止が決まっている以上は、特別掛金負担を一刻も
早く停止してほしい、ということです。
これは、当社に限らず他の多くの加入企業・加入員の方々にとっても
同じ事態ではないかと存じます。他の加入企業からの同様の声がある
のではないでしょうか、この点も併せてご確認下さい。



.「上乗せ部分掛金が全て受給者への年金給付に消えており、
加入員の積立資産増加に寄与していない」ことについて:

(1) “上乗せ部分の掛金は、加入員が将来受給者となった際に給付する
年金の原資として積み立てられており、一方受給権者への年金は既存の
年金資産から給付されています”とのご回答ですが、それはつまり、
加入員の将来給付のための原資積立と、受給者に給付する原資である
年金資産は、区分して管理されているということでしょうか。
また、それは具体的には、H27/3決算の積立金(時価)458億円のうち、
それぞれの金額は幾らなのかご回答ください

(2) “現状の上乗せ部分の年間収支は、掛金額が給付額を上回っている
ため、掛金が受給者への給付に消えているとの指摘は正しくない”との
ご回答ですが、では、具体的には、平成26年度の上乗せ部分
(代行分以外)掛金14億円と受給者への上乗せ部分給付5億円の差額、
9億円の資金がどこに残っているのでしょうか
上記(1)と関連しますが、加入員のための原資積立が9億円増えて
いるのでしょうか。そうであれば、加入員分原資積立額の増加前後の
金額をご確認下さい。
その一方で、代行部分掛金17億円と受給者への代行部分給付39億円の
差額▲22億円は、どこから出ているのでしょうか
受給者に給付する原資である年金資産からであれば、その収支前後の
金額もご回答ください。



3.「上乗せ資産を積み上げて総合型DBに移行する計画」について:

(1) 1年目から実績が計画を下回っていることは事実です。その上で、
計画達成が困難かどうか、今後3年間の運用で回復することは出来る
のか、これらの判断はどなたの責任で行うのか、ご確認下さい

(2) 「代行資産も含めた450億円の今後の3年間の運用で回復することが
困難な金額ではない」というのは、どなたの見解・判断でしょうか
岡常務の個人的な見解・判断でしょうか、あるいは理事会・代議員会の
全体での見解・判断でしょうか。ご確認ください。

(3) また、「上乗せ資産の積み上がりが平成30年度末までにシミュレー
ションを下回る可能性が高いと判断した場合には、後継制度の給付
設計を修正することになる」というのは、理事会・代議員会の決定
事項でしょうか、どなたのご判断なのでしょうか。ご確認ください。

(4) 「上乗せ資産が運用環境により増減するのは当然で、そのために
30年度末までの期間を設定し、給付内容も時間をかけて検討することに
している」とは、理事会・代議員会の決議事項なのでしょうか。
上記の(2)(3)と併せてご確認ください。

(5) 一般的な経営感覚として、計画立案したが初年度から下振れした
場合には、計画自体を見直すのが当然のことと存じます。
初年度のマイナスを2年目以降で取り戻そうとしてさらに高いリスクを
取ると逆にマイナスが拡大する危険性があるのは申すまでもありません。
この点について、基金運営責任を委託されている理事・代議員の皆様の
お考えは如何でしょうか。ご確認ください。



4.後継制度に関して:

(1) 最初に確認させていただきたいのですが、現在の基金の受給権者に
対する年金給付義務は基金自身が負っているのであり、各加入企業が
給付義務を負っているものではありません
受給権者の給付に必要な積立金相当の掛金は、各加入企業は既に基金に
支払い済みです。したがって、基金の受給権者については、かつて勤務
していた事業所が現在も基金に存続しているかどうかにかかわらず、
受給権は基金に対して発生しているもので、加入事業所とは直接の
権利義務関係はないと存じますが如何でしょうか。ご確認ください。

(2) 平成25年からの給付減額についても、受給者と基金自身の間の
給付義務&受給権についての減額同意を実施したものと了解いたします。

(3) 当社の加入員については、長期加入者であれ短期加入者であれ、
当社との労働契約の下で勤務している従業員なので当社内で対応する
ことは当然です。
OBについては、当基金と本人の間の権利義務関係ですので、
基金にてご対応をお願いします
また、“現加入員の方とOBの方の年金は消滅”と言われますが、
基金から支給される代行分年金は国に返還されて継続されますので、
“年金は消滅”という表現は誤解を招きがちです。
正確には“上乗せ分年金は消滅”ですので、訂正をお願いします。


【まとめ】に就きまして、ここに記載の2項目はどなたのご判断で
しょうか。「見直しは必要な状況には全くあたらない」、「貴社の
ご意見を直ちに理事会・代議員会に諮る必要はない」というご判断は、
岡常務理事のご判断でしょうか。
理事会・代議員会に一加入事業所の意見を図る必要はない、ご判断
される権限をお持ちなのでしょうか。あるいは、これは理事・代議員の
皆様の総意なのでしょうか、ご確認ください。

以上に就きまして、早急にご回答賜りますよう、お願い申し上げます。

                          草々

基金から回答書が届きました。

ある加入事業所(社名は伏せさせて頂きます)から、基金宛に「基金の即時解散のお願い」要請書(要請書ひな型はこちら→ http://oval-rms.com/daikin2016060103.pdf )を出していたところ、基金からの回答書が届きました。 
回答書の内容と、それに対する次の問合せ内容(基金にさらに問い合わせを行う予定です)を下記致します。

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株式会社〇〇〇〇
代表取締役 〇〇〇〇 様
                       大阪金属問屋厚生年金基金
                          理事長 児玉 直樹
          ご依頼事項について

拝復 当基金の運営に平素より多大なご協力を賜り厚くお礼申し上げます。
 さて、拝受しましたご依頼状に対し、別紙のとおりご回答申し上げますので
ご高覧をお願い致します。
 当基金と致しましては、本件のような重要な事項につきましては、規約に
定める通り、理事会での審議を経て代議員会において決議しています。
 代議員は、加入員・受給権者・事業主を代表する者として、忌憚なく意見
を述べ、知見をもって決議に参加している現状です。
 そして理事長である私の役割は、様々な意見が活発に出て、より良い決議
に至るよう、あらゆる角度から検討を行い、意見を集約することであると
認識しています。
 貴職よりいただきましたご意見につきましては、上記のことに資するもの
と受け止め、今後の運営に活かしてまいりたいと思います。
 今後ともご理解とご協力を賜りますようお願い致しましてお礼かたがた
ご回答致します。
                                敬具

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                                                                                                       No.1
(別紙)             
ご回答
                   作成者:基金常務理事 岡 克至

1.現行の特別掛金が貴社の加入員に還元されない、とのご指摘について
(1)特別掛金は、主に基金設立後に発生した後発債務の償却に充てるために
 事業主にご負担をお願いしているものですが、それは、基金が確定給付
 型であるからです。
(2)受給者に対し、規約に定める給付を行うのは一種の契約(約束)であり、
 これは貴社における退職金規程と同じです。
(3)受給者もかつては現役の社員でした。同様に、今いる社員は明日には
 受給者になるのです。従って、特別掛金は加入員の方が受給者になった
 際に還元されるものです。


2.上乗せ部分掛金が、全て受給者(いわゆる親なし受給者も含め)への年金
  支給に消えており、貴社加入員のための積立資産増加に寄与していない
  とのご指摘について
(1)上乗せ部分の掛金は、加入員が将来受給者となった際に給付する年金の
 原資として積み立てられており、一方受給者への年金は既存の年金資産
 から給付されています。
(2)現状の上乗せ部分の年間収支は、掛金額が給付額を上回っているため、
 掛金が受給者への給付に消えているとのご指摘は正しくありません。


3.昨年11月の代議員会決議(上乗せ資産を積み上げて総合型DBに移行す
  る)の計画が、1年目から実績が計画を下回ったことで、実現が困難で
  ある、とのご指摘について
(1)計画は、26~30年度末までの5年間で、当基金の運用利回りが厚年
 本体の財政見通しで示されている利回りを平均1%上回った場合の上乗
 せ資産額をシミュレーションしたものです。27年度が計画を下回った
 からと言って、直ちに5年間での計画の達成が困難になる訳ではありま
 せん。
(2)上記を金額に置き換えると、2,300百万円×(2.91%+1.0%-1.17%)≒
 63百万円となるため、代行資産も含めた450億円の今後の3年間の
 運用で回復することが困難な金額ではありません。
(3)また、上乗せ資産の積み上がりが平成30年度末までにシミュレーショ
 ンを下回る可能性が高いと判断した場合には、後継制度の給付設計を
 修正することになり、そのことについて代議員会で決議していただき
 ます。
(4)年金資産運用は、有価証券で行っている以上リスクがあることは日頃よ
 りご説明しているところです。上乗せ遺産が運用環境により増減するの
 は当然で、そのために30年度末までの期間を設定し、給付内容も時間
 をかけて検討することにしているものです。


4.後継制度では、制度開始時点から特別掛金負担がある、とのご指摘に
  ついて
(1)後継制度への参加を希望される事業所にとっては、自社の加入員・受給
 権者の過去の受給権を守るため、現行よりも短縮した償却期間での特別
 掛金が残ります。
(2)当基金は、財政を再建するため平成25年10月から受給権者の給付減額
 を行いました。大幅な減額であったにもかかわらず大半の受給者の方から
 同意していただけたのは、年金制度を続けて欲しいとのご意思の表れと
 理解しています。
(3)貴社が後継制度に参加されないのは、熟慮の結果と推察し致し方ないと
 受け止めさせていただきますが、現加入員の方とOBの方の年金は消滅
 することになり、その代替策を講じていただく必要があります。
 特に50歳以上の長期勤続者へは、そのことを貴社よりご説明いただく
 ことが必要になります。


【まとめ】
1. 上述の通り、現状は、第123回代議員会決議を抜本的に見直し、基金を
  即時に解散することが必要な状況には全くあたらないと判断致します。
2. 従いまして、今回の貴社のご意見を直ちに理事会・代議員会に諮る必要
  はないと判断致します。

                                 以上
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2016年6月8日水曜日

大阪金属問屋厚生年金基金~方向性再考に向けて~
◆これからの活動◆

6月1日の自主勉強会の最後に、加入企業の皆さんがご自身の責任でご判断された結果として、基金の将来性についての”意見表明”をされることをお奨めしました。
具体的には、下に掲載するひな形をご参考にして頂いて、基金宛(代表者・理事長あて)に早期解散の要請書をお出しになっては如何でしょうか、としました。
要請書のひな型はこちらです。→  http://oval-rms.com/daikin2016060103.pdf

また、基金事務局宛には、説明会開催報告として、当日使用した資料一式(本ブログで解説しているものです)をお送りするとともに、当日の質疑(主なものとして)を次のように取りまとめて、伸銅品問屋組合の方から報告されています。

説明後の質疑(主なもの)
 1 なぜ事務局の人が説明に来ないのか
   宮原さんの説明は理解できるが基金事務局の説明も同時に聞いて矛盾点
   見解の相違など差異を確認しないと正しい判断がしにくい
 2 基金分割解散ができないなら一体どうすればいいのか。平成31年まで待てない。
 3 親なし受給者がこんなに多いこと、なぜ11月の決議前に公表しなかったのか
   それが分かっていたら何も分割解散議案というステップ取ることはなかった。
 4 昨年11月17日の議案2の早期分割解散が不能になったのなら、
   再度、解散希望事業主の数と意向を確認し方向を修正すべきだ。
 5 一体、何社、何人が新しい後継制度の企業年金に移行するというのか
   人数によって事務費負担や特別掛金の償却も大きく変わるはず。
   そのシミュレーションを事務局は即時に出すべき。
 6 後継制度の給付と負担のバランスについて、代議員は精査したのか。
 7 他の組合に属する事業主への説明の予定は。


また、即時解散のお願い ひな形(上に掲載のもの)も、基金には提出し、
「今後各事業主からひな形のような依頼の書類が事務局経由で理事長まで郵送
されることが予測されます。あらかじめ連絡しておきます。」
というコメントが付記されています。

今後の動向なども、都度、本ブログに掲載して皆様と情報共有を図りたいと存じます。
資料② 大阪金属問屋厚生年金基金~方向性再考に向けて~
*補足説明資料*【その4】
資料②はこちら http://oval-rms.com/daikin2016060102.pdf

2.後継制度の問題点③  (右下頁7頁目)
後継制度の設計(案)ですと、新DB制度に加入する社員にとっては、30年未満で
退職すると、その間に会社が基金に支払った掛金総額よりも少ない一時金額しか
もらえないという、いわゆる『赤字給付』になってしまいます。
その原因は何でしょうか?
制度開始の時点から積立不足があることで特別掛金を負担することがその原因です。
年金制度を継続するのだから、”受給権保全”のためには仕方ないのだ、という考え方もあると思います。基金内部の検討段階では、受給権を保全しないと訴訟リスクもある、とのご意見もありました。
自主勉強会では、当社(200以上の基金を研究し関与している)の見解として、次の2点を表明いたしました。
   1)法改正施行から2年経過し200以上の基金が解散した時点で、受給権者の
     受給権を満額保全して解散した基金はゼロ。
   2)受給権者からの受給権保全に関する訴訟事例は、これまでゼロ。
むしろ、解散すれば受給権は一旦解消するので、後継制度の設計自由度が生まれることから、基金解散を選択した基金が大半です。
こんなことは、当基金の受託機関であるみずほ信託銀行さんであればご存じのはずですし、同じみずほ信託銀行さんが受託機関である他基金の解散事例も多々あります。

また、今回の第2基金検討の過程で判明した”親なし受給権者”の問題もあります。
上乗せ債務がH27/3月時点で143億円あるうち、親なし受給権者の分は24億円必要です。その不足分を穴埋めして受給権を保全するために負担するのが特別掛金ということです。
お金に色はついていませんが、この特別掛金を支払うときの原資(財源)は、加入員(現役社員)たちが稼いでくれる毎期の事業利益の中から捻出するものです。
会社(社長)としても、頑張ってくれているわが社の社員のために、と思って掛金を積み立てているつもりではないでしょうか。
ところが、そのうちの一部は他社の退職者への年金給付に使われて、わが社の社員には還元されない、と分かったら、、、、それでも後継制度に加入しますか?


3.方向性再考のポイント  (右下頁8頁目)
これまでご説明申しあげたとおり、大事なポイントは次です。
①早期解散して代行分を早く国に返還する方が資産の安全確実な確保になる。
(国の運用に必ず勝てる、という保証はありませんし、負けると資産は目減りします。現にH27年度は負けました)
②後継制度では、30年以内に退職する加入者には赤字給付になる。そんな制度に加入するのでしょうか。

では、私達はどうすればいいのですか、何ができるのですか、、、加入企業の皆さんの心の声にお応えします。
”基金”とは皆さん自身です。誰が悪い、彼が悪い、といっても何も始まりません。
自分たちの責任で状況を理解して、自分たちの責任で将来方向性を判断し、その判断を、皆さんが選んだ代議員の方々にきちんとお伝えして、各理事・代議員の皆さんに基金としての決定のご判断を要請することが、皆さんに出来ることです。

先日の自主勉強会も、またこのブログを通じての情報提供・共有も、誰かを非難したり、批判したりするためではありません。基金の構成員である加入企業・加入員の皆さんが自分たちの責任として基金問題をとらえて、考えて頂くためのものです。
その点で、当社が少しでもお役に立てれば幸いです。


資料② 大阪金属問屋厚生年金基金~方向性再考に向けて~
*補足説明資料*【その3】
資料②はこちら http://oval-rms.com/daikin2016060102.pdf

2.財政シミュレーションから     (右下4頁目)
基金継続(4年間で上乗せ資産を70億円に積み上げる)案の根拠になっている
財政推移シミュレーションの解説です。
(昨年10月付で代議員の皆さんに配布された資料の抜粋→資料③こちらです http://www.oval-rms.com/daikin2016060105.pdf )

繰り返しになりますが、毎年14億円の新たな資金拠出をしているにも関わらず、
上乗せ資産の増加はその新規資金分をした回る、という見方の検証です。
ここに記載されているように、毎年の上乗せ資産増加額が、新規拠出資金分を
下回っていることが一目瞭然です。
それでもいいのだ、基金は継続するべきだ、と判断された代議員は32名
(昨年11月代議員会議案1で「基金を続ける」に賛同した人数)おられた、
ということです。皆さん、当然、この資料も見ておられますし、簡単な計算も
されたうえでのご判断、ということでしょう。


3.後継制度の問題点①  (右下5頁目)
次に、基金が検討している解散後の後継制度について解説します。
「受給権者保全パターンごとの掛金水準比較」として、
※4年後に上乗せ資産が70億円まで回復した場合の掛金水準、があります。
その前提となっている4年後・上乗せ資産70億円、の財政状況は次です。
(シミュレーション1でのH30年度末財政)
  年金資産①      474億円
  最低責任準備金②   404億円
  最低積立基準額③   544億円
  上乗せ資産①-②    70億円

ここから、解散後の後継制度(DB確定給付年金)の移行時点の財政バランスが
次のとおりであることが分かります。
  年金資産①'    70億円  (上の①-②、上乗せ資産額)
  数理債務②'   140億円 (上の③-②、上乗せ分債務額)
つまり、制度スタート時点で、70億円の積立不足を抱えています。

そこで、特別掛金の出番です。(特別掛金とは積立不足の穴埋めのための掛金で
将来の年金給付には反映されない、ということは当ブログでも解説した通りです。)
後継制度の設計内容(案)を見てみましょう。

後継制度の【掛金設定】は、現行基金との比較も含め次のように記載されています。
モデル;20歳加入、給与30万円、40年加入(60歳退職)、利率2%
            現行         パターン①
         <厚生年金基金>     <受給権保全>
移行時資産
<残余財産>           70億円
------------------------------------------------------------------------------------------------
受給権  加入員(将来期間・過去期間)   全て保全
     受給権者(待期者含む)      全て保全
------------------------------------------------------------------------------------------------
掛金  標準掛金     0.4%      0.8%(+0.4%)
    特別掛金     2.4%      2.0%(△0.4%)
   [償却期間]    [17年償却]     [9年償却]
------------------------------------------------------------------------------------------------
 掛金計         2.8%      2.8%(±0.0%)

さらに、【給付設計】は次のようになっています。
          現行制度     DB移行後
------------------------------------------------------------------------------------------------
年金(年額)    12.9万円(終身)  50.9万円( 5年確定)
(40年加入)              26.7万円(10年確定)
                  18.7万円(15年確定)
                  14.7万円(20年確定)
------------------------------------------------------------------------------------------------
現行制度では一時金給付はありませんが、後継制度(DB)では一時金
給付(年金に代えて)も選択できます。一時金モデル額が次です。
------------------------------------------------------------------------------------------------
    加入期間   一時金額(退職時)
     10年      39.8万円
     20年      88.3万円
     30年     147.5万円
------------------------------------------------------------------------------------------------

さてここで、電卓片手に計算してみましょう。
ケース1;20歳で入社(=DB加入)したA君が、10年後30歳で退職の場合;
 標準掛金総額 月額給与30万円×0.8%×10年=28.8万円
 特別掛金総額    〃    ×2.0%× 9年=64.8万円
             →  掛金総額     93.6万円
    A君がDB基金から貰う一時金額    39.8万円
 ⇒ 給付額 39.8万円 - 掛金総額 93.6万円 = ▲53.8万円

ケースS;20歳で入社(=DB加入)したB君が、20年後40歳で退職の場合;
 標準掛金総額 月額給与30万円×0.8%×20年=57.6万円
 特別掛金総額    〃    ×2.0%× 9年=64.8万円
             →  掛金総額    122.4万円
    B君がDB基金から貰う一時金額    88.3万円
 ⇒ 給付額 88.3万円 - 掛金総額   122.4万円 = ▲34.1万円

ケース3;20歳で入社(=DB加入)したC君が、30年後50歳で退職の場合;
 標準掛金総額 月額給与30万円×0.8%×30年=86.4万円
 特別掛金総額    〃    ×2.0%× 9年=64.8万円
             →  掛金総額    151.2万円
    A君がDB基金から貰う一時金額   147.5万円
 ⇒ 給付額  147.5万円 - 掛金総額  151.2万円 = ▲ 3.7万円

(実際には標準掛金は0.8%→1.0%になるようですが、ここでは0.8%で計算しています)
あれれ、、、10年でやめるA君も、20年でやめるB君も、30年でやめるC君も
みんな、会社が掛けた掛金よりも少ない一時金しかもらえない、ということ?!

そうです。これが後継制度(新DB基金)の概要で、代議員会資料に記載されて
いる内容です。           
資料② 大阪金属問屋厚生年金基金~方向性再考に向けて~
*補足説明資料*【その2】
資料②はこちら http://oval-rms.com/daikin2016060102.pdf
1.資金の流れ     (右下3頁目)
もし、下のタンク(代行分)がなかったら、、、、こうなります。
掛金収入14億円、上乗せ給付5億円、差し引き9億円の黒字!
水を”市場”で売り買い運用しなくても、安全確実にたまります。
下のタンクを国に返すのが『解散』ですので、早く解散した方がいいというのはこういうことです。
市場で運用しない、ということはH26年度のように運用収益59億円で資産が増える、ということはなくなります。しかしH27年度(H28/3末)は△3.06%のマイナス運用で約△12億円も資産が減る、という事態も避けることができます。

「4年後に上乗せ資産を70億円に増やす」というシミュレーション(すでに初年度から下振れして、シミュレーションは破たんしていますが)は、基金の運用利回りが国の利回りよりも+1%上回るという前提のものです。
国(GPIF;年金積立金管理運用独立行政法人)は130兆円もの資産を日本のトップクラスの連中が運用しているのに、信託銀行にお任せでそれ(国の運用)よりも1%勝てると思うことが理解できない、、、、金融機関出身のある社長のコメントです。

資料② 大阪金属問屋厚生年金基金~方向性再考に向けて~
*補足説明資料*【その1】
資料②はこちら http://oval-rms.com/daikin2016060102.pdf
補足説明資料は勉強会当日に参加者の方々に配布したものです。
資料①を補足するために、資金の流れ、後継制度の問題点などを説明しました。

1.資金の流れ  (右下頁数 2頁目)
資料①全体構造図(2頁)で説明した掛金31億円・年金給付44億円・基礎収支▲13億円、の関係をもう少し詳しくみるとこうなります。

真ん中にあるのが二階建ての貯水タンクのイメージです。下の大きなタンクは”代行債務”のタンクで436億円の水が入ります。
上の小さなタンクは”上乗せ分債務”で143億円の水が入ります。
しかし、実際に水は459億円しかないので、下のタンクは満水ですが上のタンクには23億円分しかありません。(上のタンクの底は抜けていて、水はすべて下のタンクからたまります)

左側矢印は入ってくる水を、右側矢印は出ていく水を表します。
左側から注水(掛金収入)しています。下のタンクに17億円(代行分掛金)、上のタンクに14億円(上乗せ掛金)、合計31億円入れました。
右側は出ていく水(年金給付)です。下のタンクから39億円(代行給付)、上のタンクから5億円(上乗せ給付)、合計44億円出ていきました。このままですと、31億円入れて、44億円出ていく、差し引き▲11億円減ることになります。

しかしタンクの水には「運用」という仕組みがあります。タンクの中に入れっぱなしではなく、”市場”に出して売り買いすることで増やすことができます。H26年度は運用で59億円の収益を上げてその分だけ水が増えました。ただし”市場”に出すには手数料が必要なので1.7億円を払っています。

これが当基金の資金の流れです。結局、資産増加(水かさを増やす)は運用頼みであることが分かります。
もう少しよく見ると、基礎収支赤字▲11億円の原因は、代行部分(下のタンク)の赤字▲22億円にあります。なんと、掛金収入31億円はすべて下のタンクの給付分39億円に消えています。
であれば、下のタンクなんか無い方が水は早くたまるのではないでしょうか?
次の頁を見てください。 (続く)