2016年6月7日火曜日

資料① 大阪金属問屋厚生年金基金 ~方向性再考に向けて~
【その6 資料はこちら http://oval-rms.com/daikin2016060101.pdf

7.喫緊の課題;方向性の再考  (8頁目)
これまでの説明でお伝えしたように、昨年11月の代議員会で決議した基金分割(第1基金、第2基金)の方針が、現実的には成立しなくなっています。
第1議案の「H31/3月に上乗せ資産70億円まで積み上げる」シミュレーションは初年度で下振れして実現困難(シミュレーション1は破たん)です。
第2議案で検討した分割案も、第2基金がコスト面で設立断念し、さらに受給権者分の扱い次第では第1基金も第2基金も代行割れの可能性があると判明しました。
ですから、ここで改めて方向性を再考するべきではないでしょうか。

これまで理事会・代議員会という基金内部機関での検討を重ねてきましたが、残念ながら意見が一致しないままになっています。一方では、200社を超える加入事業所には予定していた4月の説明会も延期しており、情報公開・説明が滞っている状態にあります。このような状態を放置するのは、基金の運営責任や説明責任上、非常にまずいのではないかと思います。
そこで、理事会・代議員会で公表されている資料内容は、ありのままに一般の加入事業所にもお伝えして、それぞれの判断の一助にしようというのが、今回の自主勉強会の趣旨であり、また本ブログで資料&説明をオープンにお伝えする理由です。
なお、自主勉強会には基金の常務理事さんにもご参加いただくことをご案内・要請したのですが、固辞されましたので今回の勉強会では基金側の説明を同時に聞くことはできませんでした。

続いて、勉強会資料②のご説明を致します。 (続く)


資料① 大阪金属問屋厚生年金基金 ~方向性再考に向けて~
【その5 資料はこちら http://oval-rms.com/daikin2016060101.pdf

5.第2議案(分割&早期解散案)  (6頁目)
基金分割して第2基金を設立し、早期に(H29/3月)解散することを希望する、その理由をまず説明します。

このブログの資料①【その1】でも説明していますが、現在加入企業・加入員の皆さんが負担している基金掛金(全体で約31億円)の中身は次のようになっています。

掛金合計31億円  代行分 17億円 (国の厚生年金保険料一部の代行徴収分)
        上乗せ分   3億円 (基金の上乗せ分給付のための積立掛金)
        特別掛金 11億円 (基金運営上の過去の赤字を穴埋めする掛金)
※この特別掛金とは、過去の赤字穴埋め分なので、加入員(現役社員)の将来の年金給付には還元(反映)されません

過去の赤字穴埋め分の負担を、現在の加入員にツケ回しているのは早くやめてほしい、というのが第一点目です。
特別掛金は事業主が拠出していますが、その原資は社員が稼ぐ収益ですから社員から見れば、自分たちの稼ぎを他人(しかも他の会社のOBがほとんど)に回すのはやめてくださいよ、となります。

次に、いずれにしても現在は加入企業で代行分(厚生年金保険料分)以外に、年間合計約14億円(上乗せ分3億円+特別掛金11億円)もの新規資金を拠出しているので、せめて新たにつぎ込む金額分くらいは上乗せ資産が増えてしかるべきではないでしょうか。
4年間続けるとしたら、14億円/年×4年=56億円もの新規資金をつぎ込むのですが、その結果として上乗せ資産(積立金)は、23億円から70億円に増える、、、あれれ、47億円しか増えてないじゃないですか!
56億円をつぎ込んでも、47億円しか増えない、、、!?? その差額9億円減少??
だったら、すぐに解散してゼロスタートした方が、23億円+56億円=79億円になるので、その方がいいのではないですか?これが第二点目です。

このことに気がついた加入事業所の方々は即時解散を希望したのです。基金分割して第2基金に分かれれば、4年間待つこともなく、H29年3月には解散できる、ということでした。


6.第2議案(分割解散案)の現実  (7頁目)
基金分割後の第2基金設立を、設立準備委員会で検討したのですが、新たに別の基金を立ち上げるとなると、たとえ短期間だけでも(いずれすぐに解散するので)基金運営コストは相当額に上ることが分かりました。主なものは、信託銀行の費用が1600万円、システム会社に2900万円などでした。まず、コスト面で第二基金設立は難しい、となりました。

さらに、もっと大きな問題が判明しました。
上乗せ資産(代行割れ解消)が約23億円あるというので、それを第1基金と第2基金でどう切り分けるのか、という検討になったときに、上乗せ資産は加入員・受給権者の上乗せ給付のための積立金なので、加入員・受給権者は第1基金と第2基金とにどう分かれるのか、が検討課題になりました。
加入員は事業所がどちらに行くかで振り分けられます。では、受給権者はどうするのかとなったときに、事業所に紐づけする(出身事業所がどちらに行くかで決める)ことが考えられますが、中には事業所がない”親なし受給権者”がいることがここで分かりました。
しかも”親なし受給権者”(出身事業所が既に脱退した、または廃業・譲渡・倒産などで基金には残っていない)は約3,100人もいて、もし親なし受給権者に必要額を支払うとすると約24億円も必要になるので上乗せ資産23億円では全く足りない、そうなると第1基金も第2基金も代行割れになってしまう、、、と分かりました。

つまり、基金の上乗せ部分の必要額(最低積立基準)は143億円であり、上乗せ資産23億円といっても、全体の不足額は▲120億円もの巨額である、という事実です。
143億円の必要額のうち、受給権者分は95億円(その中に親なし受給権者分24億円がある)で、加入員分は48億円という割合であることもわかりました。

となると、そもそもの方向性が無理だったのではないでしょうか、、






 
資料① 大阪金属問屋厚生年金基金 ~方向性再考に向けて~
【その4 資料はこちら http://oval-rms.com/daikin2016060101.pdf

3.第1議案(4年間継続案)  (4頁目)
ここで、第1議案で「基金を続ける」(上乗せ資産を70億円まで積み上げてH31/3に解散&新制度移行する)という説明の根拠になった”上乗せ資産70億円”の前提を説明します。
昨年7月に代議員会資料として提供された「平成27年3月期決算の状況および後継制度の設計(案)について」の中に記載されている「今後の財政推移見通し」で、今後4年間の財政推移見通しシミュレーションがあります。
そこでは、次の3つのケースでのシミュレーションが提示されています。

【シミュレーション1】 基金利回りが、「厚生年金利回り」+1%
【シミュレーション2】    〃   「厚生年金利回り」と同率
【シミュレーション3】    〃   「厚生年金利回り」▲1%

基金の財政状況は、基金の資産運用利回りが、国の運用利回りに対してどれだけ勝つか負けるかで、変わってくるということです。
そして【シミュレーション1】「厚生年金利回り」+1%で推移;の場合、平成30年度末(H31/3月末)で上乗せ資産が約70億円まで積み上がる見込みとなっています。
因みに【シミュレーション2】「厚生年金利回り」と同率;では上乗せ資産は50億円、【シミュレーション3】「厚生年金利回り」▲1%で推移;では上乗せ資産は32億円、となっていました。

以下に、上乗せ資産の推移を抜粋します。 (単位;億円)
   <年度末上乗せ資産>   H26   H27   H28   H29   H30
 【シミュレーション1】    23     34   45   57   70
 【シミュレーション2】    〃   29   36   43   50
 【シミュレーション3】    〃   25   27   29   32


つまり最も楽観的なシミュレーションで”上乗せ資産70億円"になる、ということです。

では、シミュレーション作成から1年後の現在、現実はどうなっているでしょうか。
次の5頁目をご覧ください。


4.第1議案(4年継続案)の現実  (5頁目)
平成28年4月28日の代議員会でH27年度(H28/3月期)の決算推計が報告されました。
純資産は432億円、代行債務は403億円ですので、差し引きの代行割れ解消額(上乗せ資産)は29億円と推計されています。
この数字(上乗せ額29億円)は、上のシミュレーションに当てはめてみると、シミュレーション1の34億円を下回り、シミュレーション2の29億円に当てはまります

つまり、第1議案の前提になっている楽観的シミュレーションは1年目から下振れしており、これではシミュレーション1の実現は困難なのは明らかで、破たんしている、といってよいと思います。

資料① 大阪金属問屋厚生年金基金 ~方向性再考に向けて~
【その3 資料はこちら http://oval-rms.com/daikin2016060101.pdf

2.これまでの経緯 (3頁目)
ここでは、現在の方針を決定した昨年11月17日の第123回代議員会での決議内容を確認します。

「議案1 基金の方向性」では、次の2つの選択が示されました。
①基金を今のまま続ける。法改正では5年以内の解散となるので、5年間を使って上乗せ資産を積み上げて、その後に新しい企業年金(確定給付;DB)に移行する。
②即時に解散する。
⇒採決(理事長を除く代議員39名)の結果、①に32名、②に7名、となりました

議案1の結果をふまえて、「議案2」の選択肢が提示されました。
①H31/3月を目途に解散して、希望事業所のみで企業年金(DB)に移行する。
②基金を分割し、解散希望事業所はH29/3月を目途に解散、移行希望事業所はH31/3月を目途に企業年金(DB)に移行する。
③厚生年金基金のまま存続する。
⇒採決の結果、①に10名、②に28名、③に1名、となりました。

この内容を解説しますと、議案1で基金方向性について意見が分かれた→70億円まで積み上げて継続したい事業所とすぐにでもやめたい事業所があることが分かりました。
そうなると、「やめたい事業所を、多数決だからといって4年間も負担継続を”強要”する」ということはいかがなものか、となります。
そこで、議案2・基金分割です。事業所によって考えが違うことを尊重して、それぞれに違う道を歩むことにしよう、という考えです。

考え方が違うのだから互いに別の道を歩んでいこう、という意味合いで賛成した方もいれば、なかには、解散解散とうるさい連中には出て行った貰えばいいじゃないか、という意味合いで基金分割に賛成した方もいた、、、そんな雰囲気だったそうです。

いずれにしても、基金分割(第1基金、第2基金)の方向性を決議して、昨年11月20日付で事業主の皆様に理事長名でのお知らせが出されました。


ここでご参考までですが、当社(オーヴァル・リスクマネジメント)ではこれまで200を超える厚生年金基金に関わっておりますが、基金分割の事例は1件だけです(東京都電機厚生年金基金;昨年分割実施、第二基金は解散済み)。
では他の多くの基金では代議員会で意見がまとまらない時にはどうしたのでしょうか。
当基金のように、新制度移行して上乗せ継続したいという意見とすぐにでも解散したいという意見に分かれて、継続派と解散派に分かれることはよくあります。
その場合どうしているのか、、、次の手順が一般的です。
(1)事業所に方向性・新制度内容を説明し、加入事業所の意向調査をする、
(2)新制度加入を希望する事業所数・加入員数を基準に新制度の詳細設計を行う、
という手順です。

つまり、新制度(企業年金DB)の設計内容(掛金額や給付水準設定)がどうなるかは、新制度に何社の加入企業・加入員数がいて、一方で何人の受給権者を抱えるか、によって設計内容が変わってくるからです。

ちなみに、受給権者(退職者・OB;親なしの方も含めて)が、新制度(企業年金DB)に移行できるかどうかについては、”新制度内容に受給権者本人が同意すれば、出身事業所が新制度に加入してもしなくても、新制度に移行できる”ことになっています。親なし受給権者でも同様です。(この点については、別基金の案件で、すでに厚生労働省・厚生局から”書面確認”を得ています。)

さて、そこで当基金の場合ですが(資料3頁目下段を見てください)、今年の1月に事業主説明会を実施して、方向性と新制度の設計(案)を説明されています。
その上で、アンケートによる事業主意向調査の結果、新制度移行に賛同する加入企業は34社、加入員数では1,470名、であることが判明しました。
つまり、第1基金に参加表明しているのは34社・1,470名、ということです。
これで、第1基金が成り立つのでしょうか?70億円まで上乗せ資産は積み上がるのでしょうか?
 (続きは次回に)

2016年6月6日月曜日

資料① 大阪金属問屋厚生年金基金 ~方向性再考に向けて~
【その2】 資料はこちら http://oval-rms.com/daikin2016060101.pdf

1.全体構造図 (2頁目をご覧ください。右下に頁数があります):
2頁目の下半分には、当基金のH27/3決算での積み立て状況を図表化しています。

左側の二段重ね四角形は、資産の状況を表します。
黄色部分は「純資産」459億円。基金がH27年3月末で実際に保有している年金積立金額です。
その上の緑色部分は「特別掛金収入現価」116億円です。これは、現在事業主が負担している特別掛金(年間約11億円)の向こう15年分負担合計額を現在の価値(現価)に引き直したものです。実際に116億円があるわけではなく、向こう15年で事業所の皆さんに払っていただく特別掛金の総額が今の金額に換算すると116億円相当である、ということです。基金から見ると、事業主の皆さんから受領する権利がある金額、ということで資産の部に計上しているわけです。

右側の二段重ね四角形は、負債の状況を表します。
下の黄色部分は「代行債務」436億円。基金は国の厚生年金を代行給付していますが、その厚生年金部分の将来給付(受給権者10,400人と加入員9,400人に対して)を保全するために必要な現時点での積立額は436億円、ということです。基金が解散して国に代行部分を返上(返還)する時には、この代行債務に相当する積立金(純資産)を満額で国に返還することになります。
「純資産」が459億円あるので、国の代行債務分436億円を返還しても差し引き23億円が残ります。ですから代行割れ(資産が代行債務を下回る状態)を解消し、+23億円超過しているということです。
その上に乗っている緑色の四角部分は、基金の上乗せ分給付を保全するために現時点で必要な金額で「数理債務」と呼びます。これが83億円となっています。つまり、上乗せ分年金の将来給付(受給権者10,400人と加入員9,400人に対して)を保全するために必要な現時点での積立額は83億円ということです。
さらにその上に薄紫色の四角形で「剰余金」56億円、となっています。これは、左側の資産の部に計上されている金額(純資産459億円+特別掛金収入現価116億円=575億円)と、右側の債務の合計額(代行債務436億円+数理債務83億円=519億円)との差額で、56億円が剰余金として計上されているものです。これで、左右の箱の高さがそれぞれ575億円でバランスするということです。

さて、ここで数理債務(緑色の四角形)から点線矢印で右下に引っ張って「最低積立基準・数理債務」143億円、と記載しているものを見てください。H27/3決算で「数理債務」83億円と計上しているものがなぜ143億円になるのでしょうか。このカラクリはこうです。数理債務83億円の計算のもとになっているのは予定利率5.5%という数字があります。毎年5.5%の利回りで運用できるとすると現時点で83億円あれば上乗せ年金の将来給付分は賄える、ということです。
しかし、5.5%という高い運用利回りは非現実的です。そこで厚生労働省から一つの計算基準として2.5-2.6%の予定利率で計算し直すことが要求されています。5.5%よりも低い2.5%-2.6%利回りで再計算した数字が「最低積立基準」での数理債務というもので、これが143億円というわけです。将来の上乗せ年金給付額は決まっていますので(=確定給付)、運用利回りが低い分だけ、現時点で必要な積立額は増える、ということです。
つまり現実的な利回りで再計算すると、上乗せ分の債務額は143億円に膨張し、代行債務436億円と併せて合計579億円になります。これでは、資産の部(純資産459億円+特別掛金収入現価116億円=575億円)<負債総額579億円、となるので、現実的には▲4億円の不足となっているのが実態です。

もう一つ、注目すべきなのは、「最低積立基準・数理債務」143億円の内訳です。
上乗せ分年金の将来給付(受給権者10,400人と加入員9,400人に対して)の保全に必要な金額が143億円ですが、その中身を分解すると、受給権者分95億円、加入員分48億円となります。しかも、その受給権者分95億円のなかには、”親なし受給権者”分24億円が含まれています。
代行割れ解消・超過分が23億円あるといっても、その金額では、親なし受給権者の分(24億円)すら賄えない、ということが判明しました。
つまり、現実的には143億円の上乗せ分必要額に対して、わずか23億円の資産しかない(積み立て割合は16%;23億円÷143億円)、差し引き120億円の不足状態である、という現実が判明したわけです。
さらに、当基金は加入員からも上乗せ分掛金を徴収していますが、基金解散の場合には加入員拠出分(合計7億円)はまず拠出者(加入員)に優先返還しますので、残る資産は16億円(23億円-7億円)とさらに小さくなります。

以上が当基金の全体構図と財政の実態です。
3頁目以降の解説は、次に。

資料① 大阪金属問屋厚生年金基金 ~方向性再考に向けて~
【その1】 資料はこちら http://oval-rms.com/daikin2016060101.pdf

1.全体構造図 (2頁目をご覧ください。右下に頁数があります):
基金の全体像を図表化しました。基金には代議員会(40名)があり、代議員会が最高議決機関です。企業で言えば株主総会です。
そして代議員の半数の方が理事に就任し、20名で理事会を作っています。
理事会は執行機関で、企業で言えば取締役会に相当します。20名の中から理事長と常務理事(事務局のトップで運用執行責任者でもある)を選出しています。

基金に対して、国(厚生労働省)は厚生年金の一部の業務を代行させています。”代行”している業務とは、厚生年金保険料の徴収、厚生年金の給付、そして厚生年金分資産の運用です。

基金は、制度運営の業務をみずほ信託銀行に委託しています。基金の積立金(運用資産)は約4百数十億円(年度の運用結果によって上下しますが)ありますので、その運用報酬手数料として資産の約0.3%相当分を運営金融機関(運営主幹事はみずほ信託銀行)に支払い、また制度運営の業務委託費として約3千万円をみずほ信託銀行に支払っています。
ちなみに、この運用報酬手数料は運用成績とは連動していません。たとえ運用が赤字で運用損失を出しても所定の率の運用報酬は支払いますし、逆に運用が上手く行って大幅な運用利益が出ても運用報酬が跳ね上がることはありません。

基金の加入事業所数と加入員数は右側に書いていますが、208社・9,400人の加入員がいて、年間掛金約31億円を基金に納めています。
なお、一口に掛金といっても、その中身は種類が違います。
掛金合計31億円  代行分 17億円 (国の厚生年金保険料一部の代行徴収分)
        上乗せ分   3億円 (基金の上乗せ分給付のための積立掛金)
        特別掛金 11億円 (基金運営上の過去の赤字を穴埋めする掛金)
※この特別掛金とは、過去の赤字穴埋め分なので、加入員(現役社員)の将来の年金給付には還元(反映)されません

 一方、基金は受給権者(受給者;今、年金を貰っている方、と待期者;年金を貰える権利はあるがまだ受給年齢に達していないので年金給付をっている間にいる方、を総称して受給権者と呼びます。)が10,400人います。
そのうち、”親なし”受給権者が3,100人(全体の3割)います。親なし、というのは勤務していた事業所がもう基金には残っていない(脱退したり、あるいは廃業・倒産等の理由で)方々です。
この「親なし受給権者」が全体の3割を占める、という事実は、基金分割して第二基金を設立するための第二基金準備委員会の検討作業の中で、新たに分かったことです。
で、受給者への年金給付額は約44億円に上っています。
その年金給付の中身も、次のようになっています。
給付合計44億円  代行分 39億円(国の厚生年金の代行給付分)
         上乗せ分  5億円(基金の上乗せ給付分)

さて、ここで見てわかることがあります。基金は国の厚生年金を代行しています。掛金徴収と年金給付を代行していますが、掛金徴収額は17億円で、代行年金給付額は39億円ですので、代行部分で▲22億円もの赤字が出ています。結局、上乗せ分掛金3億円も、特別掛金11億円も、すべて代行部分の年金給付(国の年金)に消えてしまっています。
この出血を止めるためには、代行部分を早く国に返還(=解散)するしか方法はありません。
だから、私達は即時解散を望んでいるのです。
また、この2年間で249基金が急いで解散したのも同じ理由です。

6月1日に開催された「大阪伸銅品問屋組合;基金現状説明会」での資料と、その説明内容(概略)を掲載いたします。
同組合加入企業で当日参加できなかった事業所の方々、また他組合の加入企業で当基金に加入している事業所の方々にとっての情報共有になれば幸いです。

説明資料は、2部あります。
①大阪金属問屋厚生年金基金 ~方向性再考に向けて~ (8頁)
   資料はこちら http://oval-rms.com/daikin2016060101.pdf
  
②  〃    ~〃~  *補足説明資料*  (8頁)
資料はこちら http://oval-rms.com/daikin2016060102.pdf

参考資料は次です。
③厚生年金基金の解散・代行返上の状況
         http://oval-rms.com/daikin2016060104.pdf

これは、厚生労働省が毎月公表している資料です。出典は下記です。
http://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-12500000-Nenkinkyoku/0000115730.pdf


まず最初に、参考資料③の説明をいたします。
これは厚労省公表資料が出典ですが、今年4月末時点までの厚生年金基金の全体の状況を示しています。

まず上段の表ですが、次のことを説明しています。
平成26年度(法改正施行の初年度)に解散した基金は74基金、うち特例解散(代行割れ基金の解散)は28基金でした。また、代行返上(代行部分を国に返還した後、上乗せ部分を企業年金基金として移換・継続)した基金が13基金でした。
平成27年度(法改正2年度)に解散した基金は175基金(前年度の2.4倍!)、うち特例解散は30基金でした。また、代行返上は15基金でした。

次に中段の表ですが、これはその時点で残存している基金数と、各基金の方針を示しています。
平成26年3月末(法改正施行の直前)には531基金がありましたが、法改正によって解散・代行返上が進んだ結果、全国で残っている基金数は平成27年3月末には444基金(対前年▲87基金)、平成28年3月末には256基金(対前年▲188基金)となっています。
2年間で基金数が半減(531基金→256基金=▲275基金;解散249基金)していますので、まさに、基金解散が加速していると言えます。
なお、平成28年4月末では245基金が残っていますが、”うち解散内諾済”として119基金、”うち代行返上内諾済”として107基金、と記載されています。
”解散内諾済”というのは、その基金が「解散方針」を決定して、厚生労働省に解散計画書を提出し受理されていることを指します。
”代行返上内諾済”というのは、その基金が「代行返上方針」を決定して厚生労働省に代行返上計画書を提出し受理されていることを指します。
基金によっては、代行返上方針だったものが解散方針に変更した場合も多々あります。(その逆はありません)
以上が、厚生年金基金制度に関する客観情勢です。

では本題の資料①、資料②の説明を続けます。